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主要都市の人口移動を見る(大阪府・後編)

人口移動

前回、主要都市の人口移動を見る(大阪府・前編)にて、大阪府に対する転入数や転出数・転入超過数などを見ていきました。
今回は更に細かく、関西の市町村ごとの転出入の傾向を見ていきます。

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大阪府内の人口移動

まずは、大阪府内の人口移動の傾向です。

大阪府内から大阪府内への転入超過数(2020) 住民基本台帳をもとに作成

この図を見ると、大阪市内の北区・天王寺区・中央区などの都心部や、豊中市・ 吹田市・箕面市など県北部で転出の超過が大きいことがわかります。
逆に、住之江区や平野区、堺市南区や貝塚市、東大阪市などの県東部・南部と大阪市の郊外区で転入超過が多いです。

圧倒的な違いがあるわけではありませんが、大阪府に元から住んでいる住民の傾向として、中心部に住んでいる人々が、郊外に移り住む傾向があると考えられます。

他の大都市にも同様のことが言えますが、都心部の住宅は家賃相場や販売価格が郊外よりも高く、更に物件の広さが狭い傾向にあり、仕事などで移り住んだ人々が家庭を持ち、郊外で比較的広い住宅を購入する人口移動が起きていると予測できます。

大阪府内の転入超過数(2020) 住民基本台帳をもとに作成

更にもう一つ傾向として言えることは、大阪市内でも此花区・港区・大正区・西淀川区・住之江区などの比較的人口密度が低い区で転入が多いことです。
人口密度の高い都市部から、人口密度の低い郊外部に移動する一種のドーナツ化現象が大阪府内でも起きていると考えられます。

隣接府県の人口移動

大阪府内への転入超過数(2020) 住民基本台帳をもとに作成

上の図は、大阪府に隣接する府県の市町村から大阪府への転出超過数です。
データがない自治体が多いですが、主要な自治体のデータはある程度揃っていました。

殆どの自治体で大阪への流出が流入より多い転出超過の状態ですが、一部大阪に程近い尼崎や京阪奈地区で大阪府からの流入が多い自治体があります。
恐らく、大阪の都市部から通勤圏の郊外への人口移動が大阪府を超えて発生しているのでしょう。
しかし、関西圏の多くの自治体では大阪への人口流出が起こっており、大阪府の影響力を計り知れます。

大阪府への転出超過数(2020) 住民基本台帳をもとに作成

尼崎市や京田辺市、生駒市、香芝市は大阪府と隣接する自治体であり、大阪府からの転入が伺えます。
また、神戸市・京都市・和歌山市・姫路市などある程度の人口規模がある拠点となる市町村からもそれなりの人口流出があり、歯止めをかけることが出来ていない状態です。
近年話題となっている神戸市・京都市の人口減少は、大阪府への人口流出によって引き起こされている面が大きいでしょう。

終わりに

地方都市や田園地区の人口流出は、東京一極集中のみでなく地方ブロックの中枢都市や比較的商業サービス業が栄えた都市などさまざまな影響を受けて引き起こされています。

しかし、都市部に人口が流出することが絶対悪であるというのは誤りで、商業面では集積の恩恵を得ることができ、工業面では大消費地に人口が集中することで配送負担などが軽くなるなどのメリットがあります
また、公共サービスの維持やバス交通の意地などの面で、人口が減少していく日本において一定程度の人口集中は必要不可欠です。

しかし、空いた土地を野放しにすることも国土の無駄であり、都市部の出生率が低いことも改善する必要があります。
個人農家のみではなく、企業が農業に参入し、広い土地を利用した大規模農業を営む環境を整えたり、都市部の保育園拡充など子育て支援を整えるなど、規制緩和や経済支援策を講じ、未来の日本を明るいものとなるよう自治体や国には頑張っていただきたいものです。

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