皆さんはこう思ったことはないでしょうか?
「自分の住んでいる都市の列車本数は多い方だろうか?」
と。
最寄駅や、自分が住む地方の中心駅の列車本数は、何となく想像がつくと思いますが、他地方の都市の中心駅に列車がどの程度くるのかなんて、旅行や出張に行かない限り知るよしもありませんし、地方都市では電車を使わずに観光するなんてザラにあります。
今回は、政令都市の中心駅にどの程度列車が走っているのかを調査しました。
皆さんの住む地方は他と比べてどうでしょうか?
前編では、3大都市圏以外の新興政令市を紹介します。
新潟市
まずは、本州日本海側最大の都市「新潟市」から見ていきましょう。
新潟市の人口は781,780人
政令市で16番目に人口が多い大都市です。
新潟市の中心駅「新潟駅」には、
上越新幹線・白新線・越後線・信越本線
の4路線が走っています。
新潟駅は上越新幹線の終着駅であり、東京方面の新幹線が通ります。
在来線で最も主要な路線は、新潟駅から、新潟県第二の都市「長岡市」と第三の都市「上越市」を結ぶ信越本線です。
また、白新線や越後線も大部分が新潟市内を走っており、全線が「新潟近郊区間」に含まれることから、通勤通学などでの利用も活発です。
新幹線はコロナの影響や北陸新幹線開業の影響で、近年は6時台の3本を除き時間に1, 2本各駅停車の運行となっています。
在来線は、3線とも新潟市内に停車駅が数駅存在し、通勤通学需要があるため
ラッシュ時に4〜5本を確保されています。
日中も3本と、最低限の利便性はあります。
静岡市
静岡市は、静岡県で2番目の人口を有する都市で静岡県の県庁所在地です。
近年人口は70万人を割り込み、現在685,968人で、
政令指定都市では最も人口の少ない都市です。
静岡市では東海道新幹線と東海道本線が通る「JR静岡駅」のほか、
静岡鉄道のターミナル駅である静鉄新静岡駅が存在します。
東海道新幹線は、知っての通り日本の3大都市を結ぶ日本の国土軸です。
JR静岡駅は新幹線の全列車停車駅ではなく、他の主要駅と比較して少し本数は落ちますが、東京方面でラッシュ時5本、日中でも3本が停車します。
在来線は東海道本線の一路線しかありませんが、県最大都市の「浜松市」や三番目の「富士市」四番目の「沼津市」など、県内の主要都市を結んでいます。
そのため、通勤通学需要と都市間交通を併せ持つ路線であり、ラッシュ時・日中共に6本、7本と安定した本数があります。
また、東海道本線と並行して走り、合併前の二都市「静岡」「清水」を結ぶ私鉄
静岡鉄道
が存在し、ラッシュ時11本という上位政令市に引けを取らない規模の本数を走らせて東海道本線と競合しています。
静岡市内ではJR沿線・静岡鉄道沿線に住んでいれば、地方都市としてはかなり鉄道利便性が高い地域と言えそうです。
浜松市
浜松市の路線図は、静岡市で表示したものを参照してください。
浜松市は静岡県の最大都市であり、数少ない県庁所在地ではない政令指定都市です。
人口は784,676人で、政令指定都市中15番目に人口の多い都市です。
アクトシティという、浜松駅前にそびえる超高層ビルが有名ですね。
JR浜松駅も静岡駅と変わらず、東海道新幹線と東海道本線の二路線が存在します。
東海道新幹線も静岡駅と同じくのぞみが停まらない駅ですが、静岡駅と比べて東京行きラッシュ時の本数が少ないのは、静岡駅発東京行の新幹線が早朝数本設定されているからです。
新幹線の利便性では静岡駅の方が多少利便性が高いようです。
東海道本線の方も静岡駅と比較して本数は控えめです。
静岡駅も浜松駅も多くの始発列車が設定されていますが、静岡駅発の列車は一部島田止まりが設定されており、浜松駅まで行かない列車もある中、浜松駅発の列車の多くは静岡・興津・沼津と、静岡駅以東まで走るためそこで差が生じています。
また浜松市にも
遠州鉄道
という私鉄が市内を走っており、浜松市の中心部から西鹿島駅に至るまで路線を持っています。
JRと競合することもなく市街地を走っているため利用者数が多そうな気がしますが、本数は控えめです。
しかし、ローカル線というほどでもなく、遠州鉄道や東海道本線沿線に住んでいれば鉄道を利用して生活できる規模ではあると思います。
静岡県には「静岡鉄道」「遠州鉄道」という、路線規模は大きくないですが、グループ売上は大手私鉄最下位の南海電気軌道に迫る地方私鉄が存在するというのは面白いなと思います。
岡山市
次は大都会・岡山市です。
岡山駅の路線図を見ていただければ分かるように、100万都市も腰を抜かすほどの路線網が岡山駅を中心に伸びています。
岡山県の県庁所在地である岡山市の人口は720,016人
政令市では静岡市の一つ上、19番目の人口です。
隣接する倉敷市の人口は472,122人と、比較的大きな規模の都市が隣接しておりJRの利用に影響を与えそうですね。
岡山市の中心駅「岡山駅」は山陽新幹線と在来線6路線が乗り入れる大規模な駅です。
山陽新幹線は全列車停車駅であり、東京発広島行ののぞみ号も岡山には停車するため、博多駅と比較しても本数は多いです。
新幹線の利便性はかなり高いと言えるでしょう。
在来線ですが、本数は多いものの瀬戸大橋線を除き全ての路線で日中3本以下となっています。
津山線・桃太郎線は日中時間に一本しか走っておらず、ローカル線の様相を呈しています。
しかし瀬戸大橋線は快速マリンライナーも走っており、1日通して時間に6本近く通り、かなり利便性は高いでしょう。
四国・本州を繋ぐ唯一の鉄道路線でもあるため、1在来線以上の意味を持つ路線です。
山陽本線もラッシュ時は4本と、一定の利便性は確保されています。
また岡山市には
岡山電気軌道
も市内で走っており、中心部の都市内移動を担っています。
ラッシュ時14本、日中12本は流石路面電車です。
熊本市
熊本市は熊本県の県庁所在地であり、九州地方3番目の人口を有する政令指定都市です。
人口の737,384人で、政令指定都市では17位です。
上記で挙げた4都市は人口密度で下から4つですが、熊本市のみ札幌や京都を抑えて北九州市に次ぐ12位となっており、比較的人口密度が高い都市となっています。
熊本駅は、九州新幹線と在来線3路線が乗り入れる熊本市の中心駅で、駅前には熊本市交通局「熊本駅前電停」が存在し、基本的に市内の中心部や繁華街には路面電車でアクセスする必要があります。
熊本駅は、地方都市の中ではかなり中心部から離れている都市で、JRの利用がそこまで盛んではありません。
九州新幹線は全列車が停車し、博多・新大阪方面の列車はラッシュ時5本、日中4本と山陽本線と遜色ない本数が走っています。
鹿児島本線は、鳥栖・銀水方面でラッシュ時4本、日中2本であり多少不便な感は否めませんが、最低限は確保されています。
三角線は宇土駅まで鹿児島本線を併走しており、ラッシュ時・日中共に1本と記載していますが、熊本市内では鹿児島本線と完全に一致しています。
豊肥本線は、熊本市の市街地を通り、熊本市内やベッドタウンの菊陽町・大津町に至るまで電化ています。
熊本市の拠点である水前寺や、全国トップクラスの人口増加率を誇る菊陽町を通る路線であり、JRの中では最も利便性の高い路線と言えます。
電化区間から分岐して熊本空港アクセス線を建設する構想や、台湾の半導体受託世界最大手のTSMCが菊陽町に一兆円規模の工場を建設する予定があるため、更に利便性が向上する可能性がある、最も熱い路線です。
熊本電気鉄道の「藤崎宮前駅」は、熊本市中心部のアーケード商店街「上通り」を抜けた先にあり、都心に程近い場所に位置する私鉄の駅です。
列車本数はラッシュ時4本、日中2本とそれなりですが、浜松・静岡の私鉄と比較するとかなり見劣りします。
熊本市中心部・通町筋駅の市電はラッシュ時10本・6本と軌道としてはまずまずの本数です。
総括・比較
今回取り上げたのは、基本的には周辺都市の合併により人口を伸ばした都市が多いため、他の政令市に比べて人口密度が低く、人口自体も多くはありません。しかし、政令指定都市ということもあり、最低限の鉄道インフラ整備は整っていました。
今回の5都市を比較すると、岡山・静岡・熊本・浜松・新潟の順に本数が走っています。
岡山県は山陽新幹線・山陽本線・瀬戸大橋線でかなり本数がありますが、その他の路線はローカル感が否めず、他都市と比べて鉄道沿線の利便性が低い地域が見られます。
しかし、鉄道がある地域が多いということでもあり、広大な岡山平野を網羅しています。
静岡は路線数が少ないものの各路線の利便性が極めて高く、約360万人という岡山県や熊本県の倍の人口規模がある静岡県の底力が垣間見れます。
熊本沿線も路線数で見れば多くはないものの、各路線、特に豊肥本線の利便性はかなり高いと考えられます。今後沿線開発が進むことによる利便性の向上が期待されます。
各都市にはJR・私鉄以外の交通手段が主流であることも多々あり、
例えば福岡・京都でいうバス、北九州でいうモノレール、高知や広島、愛媛など多くの都市にある路面電車などです。
今回で言うと、岡山・熊本には路面電車が走っており、路面電車最大駅の本数を含めた表が上記になります。
熊本市の最大駅「通町筋駅」は2路線が通り本数も多いため、一気に首位に躍り出ました。
これらの都市では、「岡山」「静岡」「熊本」の列車本数が多く、「浜松」「新潟」では少し見劣りする結果となりました。
いかがでしょうか?自分の住んでいる都市と比べて、どのように感じましたか?
次回は、路線数の多い首都圏・関西圏を除く政令市を見ていきます。
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