新型コロナウイルスの影響で、日本のインバウンドは大打撃を受けました。
しかし、株式会社日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が共同で発表した
『DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(第2回 新型コロナ影響度 特別調査)』
にて、アジア・豪米欧居住者ともに「次に海外旅行したい国・地域」で日本がトップとなっているなど、アフターコロナでのインバウンドは回復すると予想されます。
そこで今回は、日本の5大都市「札幌・東京・名古屋・大阪・福岡」の空港から発着している国際線定期便の就航先と運行本数を比較します!
新千歳空港
- 2019年 国際線旅客数 3,866,519人 (国内6位)
- 2019年 国際・国内線 24,599,263人 (国内5位)
新千歳空港は2019年の国際線旅客数は、那覇空港の3,680,830人に僅差で上回り国内6位です。国内線利用者数を合わせると中部国際空港や那覇空港を上回る国内5位の主要空港です。
コロナ禍前の状況は、中国からのインバウンド需要が旺盛であり中国六都市からの直行便が就航しています。東南アジアからの直行便も3都市と結んでいますが、国際空港のハブであるシンガポール空港との定期直行便は就航されていません(台北経由便が存在)。
また、グアム直行便は2018年まで存在しましたが、2019年には運休してしまいました。
ヨーロッパへの直行便は季節便としてフィンエアーがフィンランドのヘルシンキと直行便を運行しています。このフィンエアーは日本との直行便を積極的に運行させており、5大都市全てで直行便を運行しているようです。
新千歳空港の一番の特徴として、ロシア(ユジノサハリンスク)直行便が存在することが挙げられます。この時期のロシア直行便は、5大都市では東京以外に存在しません。
成田国際空港
- 2019年 国際線旅客数 34,771,149人 (国内1位)
- 2019年 国際・国内線 42,413,928人 (国内2位)
成田国際空港は千葉県に存在し、海外100都市以上と直通する日本最大の国際空港です。
国際線旅客数はインバウンドに沸く関西国際空港と比較しても約1千万人多く、観光・ビジネスなど多くの用途で利用されています。
就航都市数は中国・米国が多く、アジアや中東・オセアニア各国などに満遍なく存在します。しかし、アフリカや南米などは直行便希薄地帯であり、外交的なつながりが希薄であることを物語っているようです。
東京には成田国際空港のほか東京国際(羽田)空港も存在し、国際線の一部も羽田空港が補完しています。
東京国際(羽田)空港
- 2019年 国際線旅客数 18,537,482人 (国内3位)
- 2019年 国際・国内線 87,406,105人 (国内1位)
東京国際空港は国内の空港で最も多い利用者数を誇ります。
国内線利用者数は圧倒的であり、2位以下を寄せ付けない規模です。しかし、国際線はあくまでも「成田国際空港」の補完的な規模であり、関西国際空港よりも少ない利用者数に留まっています。
就航先は主要都市の首都などが多く、特に重要な都市との直行便が多い印象を受けます。
ロンドンやパリ、ドイツなどヨーロッパ主要国への直行便は羽田空港よりも便数が多いのはその典型と言えるでしょう。
中部国際空港
- 2019年 国際線旅客数 6,783,526人 (国内4位)
- 2019年 国際・国内線 13,460,149人 (国内8位)
中部国際空港は福岡空港の国際線旅客数(6,398,065人)を上回り全国4位の規模です。
直行便の総数は福岡空港を若干下回るものの、中国各都市やヨーロッパ・米国本土への直行便など遠方への利便性が高いのが中部国際空港の特徴です。
デトロイトへの直行便の存在は、自動車産業が盛んな名古屋都市圏ならではの特徴と言えるでしょう。
しかし、都市規模と比較して就航数が少ない(韓国・香港・マカオ等)傾向にあることは否めず、インバウンドなど観光需要が低い都市であると言えます。
国内線の利用者数が少ないのは、2大都市圏と新幹線で繋がっており国内需要が少ないのが原因で、東京や大阪と距離がある福岡空港や新千歳空港、那覇空港などは総利用者数が多く出る傾向にあります。
関西国際空港
- 2019年 国際線旅客数 24,826,050人 (国内2位)
- 2019年 国際・国内線 31,807,820人 (国内3位)
関西国際空港は成田国際空港に次ぐ国際線の規模を誇り、就航都市は東京以外の空港と比較しても圧倒的に充実しています。国内線に関しては、国内線のみ運行されている大阪伊丹空港と役割が分かれており、東京の2空港と比較すると旅客数が少なくなっています。
関西圏は大阪や京都など日本で最もインバウンドが活況な都市で、特に中国への運行本数は羽田空港と成田空港を合計した本数よりも多く、観光市場の大きさを物語っています。
オセアニアやヨーロッパ・米国など欧米諸国への直行便の多さも、地方空港にはない規模であり、西日本のハブ空港としての役割を担っています
福岡空港
- 2019年 国際線旅客数 6,398,065人 (国内5位)
- 2019年 国際・国内線 24,679,617人 (国内4位)
福岡空港は三大都市圏外では最も多くの国際線旅客数を誇る空港で、次点の新千歳空港(3,866,519人)と比較して2倍近く差があり、中部国際空港と同規模の国際線旅客数が存在します。
福岡空港は特に地理的に東南アジアや東アジア諸国との距離が近く、就航先もグアム・ホノルルを除きアジア諸国となっています。特に韓国との地理的距離は日本の大都市と比較しても近く、韓国定期便のみで新千歳空港の運行本数を超えるほどであり、博多港の2019年国際線利用者数は1,609,678人を数えます。
滑走路あたりの運行本数が日本で最も多く、国際航空運送協会(IATA)では国内では成田・羽田と共に混雑が最もひどいことを表すレベル3に分類しています。
第二滑走路が2024年度に増設予定ですが、増設後もコロナ禍前の基準で見ると安全運行基準での運営は難しいようです。
終わりに
日本の国際線では成田空港を筆頭に、羽田空港・関西国際空港の3空港で年間1千万人を超える利用者が存在するほか、中部国際空港・福岡空港で年間6百万人以上、新千歳空港・那覇空港で3百万人以上の利用者がいます。
この7空港以外では百万人はおろか、50万人を超える国際線旅客数をもつ空港は存在せず、これらの空港が日本と海外を繋ぐ役割を果たしていると言っても過言ではありません。
コロナ禍以後、日本への旅行がより人気になれば、より多くの国際線が就航される可能性もあります。沈みゆく日本の経済回復の起爆剤になるよう、観光業を衰退させないよう盛り上げていきたいです。
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