前回は、福岡で計画が浮上しているIR福岡について紹介させていただきました。
前回記事でIR長崎についてもかなり触れていますので、そちらもご覧ください。
2.長崎IR概要
さて、IR長崎はいつから検討されていたのかというと、平成27年(2015)からすでに「長崎IR構想骨子」が長崎県・佐世保市によるIR推進協議会から出されています。
統合型リゾート(IR)整備推進法案が成立したのが2016年12月なので、かなり早期から検討が進められてきたことがわかります。
では、概要を見ていきましょう。
IR長崎完成予想図・立地について
こちらが現在公開されているパースになります。
IR長崎は、長崎県佐世保市にある有名なテーマパーク「ハウステンボス」の中に立地します。
運営は、オーストリアの国営企業関連のグループ「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)を予定しています。
ただ、ハウステンボス全てがカジノとなるわけではなく、一部区画がカジノとして整備される計画のようです。
ハウステンボスは、平成27年9月期(26年10月~27年9月)で約310万人の来場客数を誇る日本屈指のテーマパークです。
ここ数年は減少傾向にあり、コロナ禍直前の平成31年9月期は254万人でした。
このIR長崎で一番の強みは、立地がすでにテーマパークの中であり、統合型リゾートの一部としてすでに完成されているという点です。
ハウステンボス自体が、コンセプトがオランダの街並みなので、カジノのイメージにもマッチしやすいところも魅力です。
一方、交通アクセスは他の3都市と比較して弱みと言えます。
県庁所在地の中心駅・長崎駅からは約1時間半離れており、九州の主要都市である福岡・熊本・北九州からも2時間から4時間離れています。
年間600万人の日本人来場者を迎える試算となっていますが、主な来場者になると考えられる九州各県からのアクセスが良くないことは、かなりの弱みになります。
採算性・他候補地との比較
前回の記事でもIR福岡と比較しましたが、IR長崎が試算している年間集客目標はかなり厳しいと思っています。
ハウステンボスの最盛期の来場客数が年間310万人であり、最盛期の1.5倍の集客を果たしてカジノだけで達成しうるのか、過剰な期待を持たせている面が垣間見えます。
長崎県の規模としては、ここまで、あまり触れてきていなかった和歌山県の人口に似通ったものがあり、一見すると国際線利用者数でもIR長崎に優位性がありそうに見えなくもありません。
しかし和歌山市は、全国で二番目に国際線利用者が多い「関西国際空港」に、大阪市よりも近く立地しています。また、人口約900万の大阪市とはJR・南海の2路線で繋がっているため、大阪からの利用客も大いに見込めると考えられます。
しかし、ハウステンボスはヨーロッパの街並みをテーマとしたレジャー施設であり、
国は違えどオーストリアの企業であるカジノオーストリアインターナショナルジャパンとの親和性は大いにありそうです。
また、長崎〜武雄温泉間のフル規格新幹線も今年の開業を控えており、長崎方面からのアクセス向上が期待できる側面もあります。
(新鳥栖〜武雄温泉間の開業は未定であり、九州各県からのアクセスはバスか特急に頼らざるを得ません。)
福岡市自体が、民間提案を受けた上で立候補を表明しない可能性もあり、その場合はライバルとなる都市が近くに存在しないため、本命の一つになりうる立地でもあります。
筆者としても、IR福岡かIR長崎のどちらかは最低限実現してほしいと考えています。
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