スポンサーリンク

主要都市の公示地価(2022)を分析する

地価

3月22日、国土交通省より2022年1月1日時点の公示地価が発表されました。
前回に引き続きコロナが終息しない状況が続いています。
今回の結果では、一定程度のコロナ禍の落ち着きを反映し、前回の下落基調から横ばいもしくは回復基調で推移しています。
この記事では、各主要都市の公示地価の推移から、各地域の現況を考察していきます。

スポンサーリンク

各都道府県の商業地「最高」価格

国土交通省:令和4年地価公示「都道府県庁所在地の商業地「最高」価格」より

まずは、各商業地の最高地価額を見ていきます。

例年同様、1,000万円を超えている都市は
東京・大阪・名古屋・横浜・福岡
の5都市です。

また、100万円を超えているのは
京都・神戸・札幌・仙台・さいたま・広島・熊本・千葉・那覇・岡山・静岡・鹿児島
の12都市です。
2021年では金沢市が超えていましたが、下落基調から抜け出せず100万円を割り込みました。

高い地域には以下の特徴があります。

  • 総人口が多い
  • 都市圏人口が多い
  • 人口密度が高い
  • 観光地である(小売が盛んな地域)
  • 商業が盛んな地域

単純に人口が多い地域で公示地価が高いと説明できそうですが、岡山市(人口71万人)より那覇市(32万人)・札幌市(195万人)より京都市(147万人)の方が最高地価が高く、大きな差があるなど人口以外の上記のような要素も関係しそうです。

このような各指標が最高公示地価に与える影響を分析するために、重回帰分析を行いました。

重回帰分析

分析

重回帰分析とは、一つの要素(目的変数)が他の複数の要素(説明変数)に影響されて決定づけられる時に、どの説明変数がより深く目的変数の決定に影響しているかを分析する際に用いられる手法です。

少し細かい話になるので、結論だけ確認したい方は飛ばしても大丈夫です。

今回設定した変数は下記の通りです
「目的変数」 ⇨ 「R4各都道府県の商業地「最高」価格」
「説明変数」 ⇨ 「総人口」「都市雇用圏人口」「可住地面積人口密度」「年間商品販売額(小売)」「年間商品販売額(卸売)」「都道府県観光消費額」

Excelより作成 総人口は2015年, 雇用圏人口・年間商品販売額・観光消費額は2016年の各種行政機関の統計を参照

「補正R2」:的変数の値変動を説明変数によってどの程度説明できているかを表す。1に近いほど精度が高い
「有意F」:得られた結果が意味のあるものかを示す。0.05未満で有意と仮定
「t値」:それぞれの説明変数が目的変数に与える影響の大きさを表し、絶対が大きいほど影響が強いことを意味する。目安を2と仮定
「P-値」:説明変数が目的変数に関係性があるかを表す。一般的に0.05以下であるかが基準

ここで得られた値についてみていきます。
有意Fは限りなく0に近く、補正R2も0.97とかなり1に近いため、高精度で有意と考えられます。
その上で、P-値をみていくと、都市雇用圏人口・可住地面積人口密度で関係性があり、特に可住地面積人口密度が最高地価の最高額に大きく影響を及ぼしていることがわかります。

結論

最高地価は単純に人口の大小だけでなく、都市圏の人口と人口密度に大きな影響を受けていることがわかります。
土地の価格が高いということは土地がそれだけ足りていないことを表しており、単純に総人口と比例して最高地価が決まっているというわけではなく、都市の人口密度が高く、その都市の外部にも影響力がある地域が比較的高い地価になっているようです。

商業地の伸び率

次に、各県庁所在地の商業地平均地価額の変動率をみてみます。

国土交通省発表資料より作成

福岡市を筆頭に、札幌・仙台・広島の札仙広福の伸び率が以前高い状態にあります。
この4市は、コロナの影響がより激しいR2→R3でも高い伸び率を示しており、コロナ禍においても継続して日本の地価を牽引しています。

また、名古屋やさいたま・京都・東京・兵庫・大阪など三大都市圏内の主要都市でも、前年の伸び率と比べて上昇に転じる・下落幅が縮小する自治体が目立ちました。

中でも名古屋は、栄や名駅周辺での再開発計画が相次ぎ、前年落ち込んだ地価を大きく回復させています。

地域別で見ると、北部九州圏や東北中部〜南部などまとまった地域で上昇傾向が拡大しているほか、全国的に地価の推移が回復傾向にあります。

全国的に中心部の再開発が相次いでおり、コロナの影響が落ち着けば更に地価の上昇に弾みがつくかもしれません。

住宅地の伸び率

各県庁所在地の住宅地平均地価額の変動率をみてみます。

国土交通省発表資料より作成

こちらは札幌市を筆頭に、福岡・仙台が高い伸び率となっています。 札仙広福と言いつつも、広島市は近年地価の伸び率が落ち着いている傾向にあります。

また名古屋・東京・さいたま・京都・大阪など三大都市圏の主要都市でも下落から上昇に転じており、商業地価と同様に住宅地価も回復傾向にあることがわかります。

住宅地は商業地の地価と比べてコロナの影響が少ないため、元々上昇していた地域が上昇したという地域が多いです。
また、商業地よりも地域性が明確に出ております。
九州地方、中国西部、東北地方、北陸地方などで上昇拡大。
京阪神、南関東、名古屋など三大都市圏都市部でも、減少から上昇に転じています。

総括

各都道府県の最高地価額では、人口が多い都市や商業が盛んな都市の中心部で高値が付くと漠然と思っていましたが、やはり市自体の人口規模より都市部の人口密度に大きな影響を受けていたのは、興味深いです。(当たり前といえば当たり前な結果ですが)

商業地・住宅地ともに札仙広福は相変わらず強いですね。
人口増加率などでもこの4市は毎年高い数値を出しています。

西九州新幹線やリニア新幹線の開業、大阪万博、IR推進など大きなイベントが控えており、少なからず土地の価格に影響してくることが考えられます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました