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福岡市の地理的・都市的特徴について

都市を語る

日本の主要都市の中で、近年著しく人口が増加している福岡市。
歴史上重要な役割を果たしてきた「九州」の大都市として、地理的な特徴と都市的な特徴を考察していきます。

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地理的特徴

地形

引用元 https://gazone.morrie.biz/tosi/nippon_eisei_syasin.html

福岡市は人口約165万人で、全国で5番目の人口規模を持つ市町村です。
広い沿岸部を持ち、博多湾・日本海に面しているため、博多港の漁獲類の水揚金額は焼津港と1、2位を争っています。

東は三郡山地・南は脊振山地で囲まれており、都市規模の割に平地が少なく、名古屋市並みの高密度な市街地が福岡平野に広がっています。近年では人口の増大により、筑紫平野や北部沿岸の狭い平野部に市街地の拡大傾向が顕著です。

都市可住地人口密度(2020)
東京23区15,510人/㎢
大阪市12,216人/㎢
名古屋市7,373人/㎢
福岡市6,932人/㎢
札幌市4,495人/㎢
仙台市3,209人/㎢
広島市4,093人/㎢
主要都市の可住地人口密度

立地

福岡市は九州北部に位置し、九州・沖縄・山口など広範囲の西日本に影響を及ぼす地域の中心都市です。
よく言われることですが、立地的に東京と変わらない距離に台北や上海があり、ソウルや釜山はさらに近く、東アジアの国々の中心都市へのアクセスが優れる点で他都市と比較してかなり優位性を持っています。

福岡空港は、東アジア・東南アジアを中心に多くの国際線が運行されており、日本におけるアジアの玄関口としての発展を目指しています。

都市距離
釜山約200km
ソウル約550km
大阪約550km
上海約900km
東京約1,100km
台北約1,300km
福岡-各都市の直線距離

気候

比較的温暖で、年平均気温は東京と比較して1〜2度程高い傾向がありますが、特に大きな違いはありません。九州地方は台風被害が多いですが、福岡市において台風による大きな被害は比較的発生しにくいです。

災害

記憶の新しいところで、九州北部豪雨や福岡西方沖地震(M7.0)など、度々災害に見舞われています。
都心直下の活断層である「警固断層」の存在により、震度6弱以上の地震に見舞われる確率は全国的に見ても比較的高い地域であり、注意が必要です。
また、平成11年・15年に豪雨により博多駅周辺が浸水する被害が発生していましたが、山王公園地下に雨水調整池が作られるなどの対策が進められ、過去よりも安全になっています。

都市的特徴

地方の中心都市と人口増加

福岡市は「九州地方」の中心都市という立場であり、九州や山口、沖縄などからの人口集積が進んでいます。
2大都市圏である「関東」「関西」が遠く、国内では比較的両地域の影響が少ない地方であるため、福岡市が強い存在感を示しています。経済・雇用・教育の集積により、特に若年層を中心に福岡市へ移り住む人々が多く、九州外への人口転出を抑制する機能を持っている都市です。

2010〜2015年、2015年〜2020年に全国の市町村で最も多く人口が増加した都市となり、2020年から2023年10月にかけても2位の約1.5倍の差をつけて首位を走っています。

これらの特徴は、福岡市と同じく地方中枢都市である「広島・仙台・札幌」などにも当てはまりそうですが、後背人口の違い(九州地方 1300万、東北 900万、中国 700万、北海道 500万)や、地域内での集積率(福岡市 約13%、仙台市 約13.2%、広島市 約16.3%、札幌市 約38.5%)の差に加えて、沖縄・山口など地方ブロックを超えた影響圏の広さによる余力の違いからも説明できそうです。

国勢調査・推計人口より

都市機能の高密度集積

福岡市は「鉄道」「空港」「港湾」の代表的な長距離交通手段が、都市の中心にコンパクトにまとまった都市構造をしています。
有名な話ですが、福岡空港まで中心地「天神」から11分、交通結節点の「博多」から5分という超好立地に空港が存在します。アジアの近さと空港の近さはそれぞれが揃うことでより一層武器になっていることでしょう。

日本でも有数の水揚高を誇る博多港は、「焼津」や「銚子」などの他の主要港と違い、大都市に立地する珍しい港湾であり、新鮮な海鮮が食べられる都市として強みの一つとなっています。

「バス」交通が発達した大都市

福岡市は世界一のバス保有数を誇る「西日本鉄道」グループが存在します。
福岡市内の鉄道は、JRに加えて地下鉄3路線と大手私鉄である西日本鉄道の2路線が存在し、空港や市内の拠点地域を結んでいます。
都市内交通として鉄道利用は主要な選択肢の一つですが、鉄道アクセスの悪い地域にも「西鉄バス」の路線網が張り巡らされており、中心部直結の便利なバス路線を市内各地で利用できます。

福岡市には都市高速網が存在し、この都市高速に路線バスが乗り入れている光景も福岡ならではです。

西鉄バス路線図(2022) 西鉄グループHPより https://www.nishitetsu.jp/bus/rosen/

中層建築物の多い街

福岡市は前述の通り、福岡空港が街の近くに立地するため、市全域で航空法により建築物の高さが制限されています。
東名阪や札幌・仙台・広島のような大都市では、中心部に150mを超えるような超高層ビルが林立している光景が当たり前ですが、福岡市は「博多駅」周辺で54m、「西鉄福岡(天神)駅」周辺で約70mに制限されており、高さが均一な中層ビルが広範囲に広がる街並みとなっています。

福岡空港の高さ制限についての記事はこちら

写真提供:福岡市

福岡市はかなり前から住宅におけるマンションの割合が高く、2010年頃までは東京よりも高く全国トップでした。
マンションに限らない「共同住宅」では依然として東京を抑えトップとなっています。(大都市比較統計年表/令和3年)
高層ビル・マンションのイメージが強い大阪、神戸や横浜を抑えていることを考えると、中層のマンションが高密度で広がっていることがわかります。
ちなみに、高さ制限の緩い郊外地域(アイランドシティ・千早・百道浜等)では、近年100〜160mの超高層マンションが建設されています。

東京カンテイ プレスリリースより引用 https://www.kantei.ne.jp/report/114karitsu-seirei.pdf

サービス業中心の商業都市

戦後、4大工業地帯を中心に第二次産業の成長による高度経済成長期を迎えました。
京浜工業地帯・阪神工業地帯・中京工業地帯は3大都市圏に立地し、豊富な労働力を元に現在でも3大工業地帯として日本の工業を支えています。

一方唯一脱落した「北九州工業地帯」は、同様に当時の人口集積地であったものの、炭鉱や鉄鋼業の衰退の影響をもろに受けてしまい、現在では「北九州工業地域」として規模を縮小した形で残っています。
この北九州市と同じ県内にある福岡市では、工業が発展してきませんでした。
それは、北九州という第二次産業に優位性のある都市が至近にあることに加え、遠賀川のような一級河川が無く、水資源に乏しいことが工業集積しない要因となっていました。

歴史的に商人の自治都市として発展してきた博多という街は、今なおサービス業が集積する都市として発展を続けており、第三次産業(サービス業)の従業者比率は依然として政令市トップです。

札幌市88.9%新潟市81%神戸市84.5%
仙台市87.8%静岡市78.2%岡山市82.7%
さいたま市86.2%浜松市70.9%広島市83.5%
千葉市86.9%名古屋市84.2%北九州市80.2%
横浜市84.5%京都市84.1%福岡市90.3%
川崎市80.2%大阪市85%熊本市87.8%
相模原市77.9%堺市76.1%
第三次産業従業員比率(2014)

支店経済都市・起業都市

支店経済都市というのは、別の都市に本店(本社)機能を持つ企業の支店が集まることで経済が成り立っている都市のことを言います。
福岡市に本社を置く主な企業で大きく影響力を持つのは
「西日本鉄道」「西日本シティ銀行」「福岡銀行」「九州旅客鉄道」「九州電力」「九電工」「西部ガス」
で構成される七社会(正式名称:互友会)が有名です。

これらは福岡市に本社を置く企業で構成されていますが、見てわかる通り、インフラ・金融系企業で占められています。
インフラ企業や地銀は基本的に地場に根付くため、本社機能を東京などに移転させることは少ないですが、これらの企業が幅を利かせているということは、全国展開をしているような代表的な大企業が少ないということにもなります。

もちろん、他にも「コスモス薬品」やロイヤルホストを運営する「ロイヤルホールディングス」など、全国展開している企業の本社もありますが、全国規模に成長すると福岡市から東京都に本社移転する事例が後を立ちません。
「コカコーラボトラーズジャパン」やほっともっとを運営する「プレナス」などもここ数年で東京都へ本社を移転させました。

福岡市をルーツとする大企業も多く、「ソフトバンクグループ」や「ヤクルト本社」などがありますが、どちらも東京へ移転しています。

この状況を打破すべく、福岡市は起業支援に力を入れており、大名小学校跡地では福岡市スタートアップカフェという起業支援施設で大規模な企業支援を実施しています。
2018年から5年連続で、政令市・特別区部の21大都市でトップの開業率を誇り、起業の街・福岡として地場に根付く産業育成に取り組んでいます。

女性の街、若者の街

福岡市は前述の通り、サービス業の盛んな都市であり、特に多くの若年女性の働く場所が豊富です。
21大都市での人口に対する若者率(15〜29歳)はトップで、若年人口に対する女性割合もトップとなっています。
若者が多いということは、都市の活気に直結し、特にITに力を入れている福岡市にとっても優位に働くものと考えられます。

Fukuokas Facts データでわかるイイトコ福岡より引用: http://facts.city.fukuoka.lg.jp/data/population/

総括

いかがでしたか?
データ上でも福岡市は日本でも元気な大都市として発展していることがわかります。
このサイトでは、福岡を中心に日本の都市の統計比較や再開発について取り上げていますので、是非他の記事も読んでいただけると幸いです!

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