スポンサーリンク

政令市中心駅:列車本数から利便性を比較する(中編・2) 福岡・北九州

交通

前回の記事の続きです。
前回は、「札幌市」「仙台市」「広島市」の中心駅における運行本数から、鉄道利便性を確認しました。
中編で取り扱う残りの都市「北九州市」「福岡市」「名古屋市」を見ていきます。

スポンサーリンク

北九州市

福岡県第二の都市・北九州市は、中編で取り扱う6都市の中で名古屋市に次ぐ二番目に政令指定都市となった古くからの大都市です。

人口は927,685人と最盛期の106万人からかなり減少していますが、現在でも日本で14番目の人口規模を有します。

元々中規模の5都市が現在の北九州市の範囲に集積していましたが、5都市の対等合併という形で現在の北九州市が成立しました。
また、北九州市は「八幡製鉄所」を中心に鉄鋼・重工業が発達し、日本一の炭鉱地帯である筑豊地区に隣接しているため、多くの石炭輸送路線が整備されました。

このような経緯から、北九州市は市内各地にJRの路線網が発達しています。

提供元:ひまわりデザイン研究所:https://47rail.jp

北九州市は福岡県北部に位置し、路線図で言うと右上になります。

JRの中心駅は「小倉駅」であり、山陽新幹線のほか
鹿児島本線・日田彦山線・日豊本線
の3つの在来線が乗り入れています。

5市の対等合併という歴史から、旧市の中心部も点在して発展しており、
JR「黒崎駅」や「折尾駅」も北九州の主要な駅として多くの利用者が存在します。
黒崎駅からは西鉄子会社の私鉄である「筑豊電気鉄道」の路線が出ています。

また、昔存在した路面電車網の代替交通として、都市モノレールが整備されているのも小倉駅の特徴です。

本数は2022/04/05のもの。乗車人員は2020年度の数値をもとに作成。JR西日本が運営する山陽新幹線は2019年度の乗車人員。山陽新幹線と筑豊電気鉄道線の乗車人員は、乗降客数を2で割っています。灰色のものは集計が被っている路線

JR小倉駅

JR小倉駅は山陽新幹線全列車停車駅であり、両方面ともラッシュ時6〜7本と十分な本数が確保されています。

北九州市で最も主要な路線はJR鹿児島本線です。
北九州市の各中心地である「小倉」「門司」「折尾」「黒崎」「八幡」の各駅を結んでおり、福岡市や久留米市など県内主要都市を結ぶ路線です。
福岡・北九州という大都市を結ぶ都市間路線であるため、前述の3都市と比較しても運行本数は多めです。
鹿児島本線(福岡・北九州近郊区間)は運行本数に加え、運行両数が他の3都市と比較しても多いです。
広島・仙台・札幌の最大両数が6両編成である中、福岡・北九州エリアの鹿児島本線では9両編成や7両編成の列車が主に運行されており、利用者の多さを物語っています。

JR鹿児島本線は、福岡・鹿児島間の西側を沿うように走っている路線ですが、福岡・鹿児島間で大分・宮崎など東側を通って走る路線がJR日豊本線です。

日豊本線は多くの特急が走る路線であり、ラッシュ時には特急含み時間で7本、日中でも5本と比較的多くの本数があります。特急を除くと4本・3本ですが、最低限の規模は確保されています。

北九州市南部を走り田川方面に向かう日田彦山線は、かつて炭鉱で栄え、現在衰退激しい筑豊地域と繋ぐ路線であり、ローカル線の様相です。

北九州モノレール

小倉駅とモノレール

北九州モノレールは中心部の小倉駅から小倉南区の郊外地域を繋ぐ路線です。
JR各駅と比較してそれほど利用者は多くありませんが、小倉南区の住民にとって利便性の高い路線です。

ラッシュ時8本・日中6本が運行されており、北九州では都市内交通として地下鉄のような役割を担っています。

JR黒崎駅・筑豊電気鉄道・JR折尾駅

JR黒崎駅は北九州市の副都心であり、数年前まで巨大な百貨店もあった駅です。
JR九州の駅では長らく博多・小倉に次ぐ3位の乗客数でしたが、近年は周辺の衰退も相成り鹿児島中央駅、折尾駅、大分駅に次ぐ6位となっています。

鹿児島本線は小倉駅と同様のため端折りますが、黒崎駅の駅前から筑豊電気鉄道が走っています。

多くは2両編成が走るものの、ラッシュ時10本とかなりの利便性を有する路線です。

JR折尾駅からは鹿児島本線のほか、筑豊方面を通り博多駅に至る福北ゆたか線が通っています。
ラッシュ時4本、日中2本であり政令市の路線としては最低限の利便性を有しています。

福岡市

福岡市は福岡県の県庁所在地であり、九州地方最大の都市です。

人口は1,619,196人で、政令市で5番目の人口規模を誇ります。
人口減少の傾向が顕著な日本で最も人口増加数・率が高い政令市として成長しています。

サービス業が盛んで、工業が盛んな北九州市と県内で役割を分担しています。
また、15〜24歳の若者率が政令市で最も高く、若年層の厚さも特徴の一つです。

福岡市の交通で最も特徴的なのは、バス路線が充実していることです。
鉄道と違い、統計的な解説はしにくいですが、少し取り扱います。

本数は2022/04/05のもの。乗車人員は2020年度の数値をもとに作成。JR西日本が運営する山陽新幹線は2019年度の乗車人員です。西日本鉄道の乗車人員は、乗降客数を2で割っています。灰色のものは集計が被っている路線

路線図は、北九州で貼ったものをご覧ください。

福岡市の中心駅はJR博多駅です。
JR西日本が運営する山陽新幹線・JR九州が運営する九州新幹線の始発・終着駅であり、JRの在来線は
博多南線・鹿児島本線・福北ゆたか線の3路線であり、福岡市営地下鉄直通でJR筑肥線とも繋がります。

博多駅には福岡市営地下鉄空港線も乗り入れており、今年度末に七隈線の博多駅延伸も控えています。

JR博多駅のある博多地区の他、福岡市の都心地域である天神にも
地下鉄空港線七隈線、西日本鉄道の天神大牟田線が走っています。

また、市内の主要な路線として東区の貝塚駅には
地下鉄箱崎線、西日本鉄道の貝塚線が乗り入れています。

中心地からかなり離れているため、市内にありますが香椎線は除外します。

博多地区

福岡市はJRが中心の博多地区と、西鉄が中心の天神地区の2つの拠点が存在します。
博多地区ではJR・地下鉄博多駅が中心です。

JR博多駅

JRの中で最も主要な路線は、北九州市と同じく鹿児島本線です。

長崎・大分方面に向かう特急列車を含めると、ラッシュ時14本・日中8〜9本運行で地方のJRとしてはかなり高頻度で運行が行われています。

筑豊方面経由で北九州に向かう福北ゆたか線(篠栗線)はラッシュ時6本・日中3本で運行されており、JR博多駅では鹿児島本線に次ぐ通勤路線です。
夜ラッシュでは8時台に7本(内快速3本)運行されており、普通電車2両・3両のほか、5両・7両編成も運行されており利用者が多く、コロナ前にはJR九州で唯一黒字の区間と言われていました。

博多南線は、JR西日本が運行する一駅のみで全列車が新幹線車両の特殊な路線です。
運行本数は少ないですが、博多駅〜那珂川市間8.5kmを一駅で繋ぐ路線で運行本数以上の利便性があります。

福岡市営地下鉄博多駅

福岡市営地下鉄は空港線が博多駅に通っており、ラッシュ時16〜17本・日中8本の高頻度運転が行われています。

2022年度末には地下鉄七隈線が現在の天神南駅から延伸開業する予定であり、博多駅の利用客増加が期待されます。

天神地区

天神地区は福岡市最大の繁華街・オフィス街であり、博多駅を上回る都心地域です。
JR駅はありませんが、大手私鉄である西日本鉄道のターミナル駅があり、地下鉄が2路線通っています。

西日本鉄道 西鉄福岡(天神)駅

西鉄福岡(天神)駅

西日本鉄道は3大都市圏以外で唯一の大手私鉄であり、福岡市天神と筑紫地域や久留米市、大牟田市など県内主要都市を結ぶ路線です。

ターミナル駅である福岡駅は、無料の特急・急行を含むラッシュ時17本・日中10本の高頻度運転を行なっています。
三大都市圏を除く地域では圧倒的な運行本数と利便性を有する路線です。

市内にも複数の駅を持ち、その沿線の鉄道利便性は高いと言えます。

福岡市営地下鉄 天神駅・天神南駅

地下鉄天神駅に通る路線は博多駅と同様の空港線ですが、筑肥線・箱崎線も乗り入れており、中洲川端〜天神〜西新駅区間の博多方面は福岡市で最高頻度のラッシュ時20〜21本・日中12本運行がされています。
福岡市内では文句無しに最も利便性が高い区間です。

天神南駅は、七隈線の始点となる駅です。
地下街経由で空港線や西鉄天神大牟田線との乗り換えも可能です。
ラッシュ時15本・日中8本と申し分ない運行本数ですが、全列車4両編成と6両編成の空港線や4〜6両編成の西鉄と比べて小柄な路線です。

地下鉄・西鉄貝塚駅

東区、地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線が通る貝塚駅があります。
貝塚駅はそれほど大きな駅ではありませんが、紹介していない2路線が存在する駅として取り扱っています。
地下鉄箱崎線は貝塚駅から中洲川端までの路線で、約半数の列車が天神や姪浜方面に直通します。
ラッシュ時・日中に限らず毎時8本が運行されており、地下鉄としては少し物足りない路線です。

西鉄貝塚線は、西鉄貝塚駅から福岡市東区を通り隣接している新宮町までを走る路線で、都市郊外と地下鉄駅までを結びます。
単線かつ全列車2両編成のローカル感漂う路線ですが、単線としてはかなり高頻度のラッシュ時6本、日中4本運転です。
ローカル路線ながら、コロナ前の2019年までは関東以外の前路線でワースト1の混雑率を誇ります。

西鉄バス

西鉄グループHP 路線図・路線案内より https://www.nishitetsu.jp/bus/rosen/rosenmap/

札幌市は比較的地下鉄が発達し、広島市は路面電車が、名古屋市は高速網が充実しており各都市とも独自の強みを持っていますが、福岡市は路線バス網が他都市と比較して発達しています。

単純に鉄道と比較することは難しいですが、輸送人員で比較すると福岡市のバス利用頻度が見えてきます。

各市の統計書より作成
※1 札幌市は市域外に起終点のある一般路線を含む。
※2 名古屋は愛知県全体の輸送人員

各市の統計書を参考に作成していますが、札幌市は市域外の路線を含み、名古屋市は愛知県全体のバス利用者を表していることから、福岡市のバス利用者が圧倒的に多いことがわかります。

博多駅のバス停(駅前・バスターミナル)から天神地区へのバスのみの本数でラッシュ時61本・日中57本と、一方面のみでも超高頻度運行が行われており、福岡市内では都市内交通の一つとしてバスが主要な交通手段となっています。

名古屋・総括

すみません、前回に引き続き想像以上に文量が長くなってしまったので、中編・3に分割します。
次回は必ず6都市の比較を行います。
よろしくお願いします。
運行している列車が何両編成か分かり易いサイトとかあったら捗るんですけど、何かないですかね?

次回に続きます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました