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IRは地方発展の鍵となるか(4・大阪IR)

IR

現在パースが出ているIR候補地の最後の一つ、IR大阪
運営会社・資本企業・候補地、全て申し分ない様に思われる構想ですが、政治判断やコロナウイルス感染症の影響は無視できません。
IR大阪の現状と、主にIR和歌山との比較を考察します。

4.IR大阪の概要

大阪府は、2013年12月に「大阪府市 IR 立地準備会議設置」(第 1 回会議開催)を実施し、知事や市長、局長レベルの重要人物が一同に集まるほど規模で行われました。

2019年2月12日の第10回会議では、IR大阪の基本構想が出され、2021年10月28日の第13回会議で、MGM・オリックス コンソーシアムが事業者として選定されました。

10数回に渡りIR推進についての会議が行われ、コロナによる予想外の事態を受けつつも、米国ラスベガスに本社を置く売上一兆円を超える大手運営者が決定されるなど、他地域と比べても安定した進捗が伺えます。

IR大阪完成予想図・立地について

大阪・夢洲地区特定複合観光施設設置運営事業(提案概要)より

IR大阪のイメージパースは、派手な面も日本らしい控えめな面も兼ね備えた美しい見た目になっているように感じます。
大阪は古くから「水都」と呼ばれて栄えてきた歴史があり、開発コンセプトも“結びの水都”と、歴史・伝統を継承したものとなっています。

立地は、大阪市の人工島の一つ、夢洲です。
現在は主にコンテナターミナルとして利用されている人工島ですが、2025年の大阪万博のメイン会場となる予定地で、地下鉄中央線のコスモスクエアから夢洲までの延伸は2024年度を開業目標としています

IR大阪はJR大阪駅からの鉄道アクセスがよく、IR福岡のように乗り換えなしとはいきませんが、地下鉄で中心駅からアクセスすることが可能です

大阪は関西国際空港からだけではなく、羽田や成田・セントレア・福岡のような他の国際空港から入国した外国人観光客が、新幹線を利用して大阪に観光に来るルートが頻繁に利用されます。
日本人観光客も多くが新幹線を利用することが想定されるため、JR大阪駅-新大阪駅とIR大阪間のアクセスが良好なのは、関西国際空港とのアクセス以上に意義があります。

採算性・他候補地との比較

IR大阪は、先に述べた通り、運営業者・資本企業・立地ともに他候補地と比べて優れていると言えます。
立地から考えてIR和歌山と競合すると思われますが、IR和歌山は前回記事で述べた通り厳しい状態です。

このシリーズの(1)で紹介したIR福岡は、米ラスベガス創業の民間提案で計画された内容であり、官より民が積極的にIR誘致を計画する状況ですが、IR大阪でも多くの民間企業が出資予定です。
IR和歌山は、資本企業が未だに発表されず、IR長崎でも資本企業は「交渉中」として社名が発表されていません。

日本でIRを成功させるために国内企業の参入や投資は必要不可欠ですが、ある程度の需要を予測できない地方都市で計画されるIRに果たしてどれだけの企業が参入するのか、疑問が残ります。

しかし「地方創生」という観点で見ると、IR大阪やIR福岡のような既存の大都市をより発展させることが真の地方創生に繋がるのか。これは大阪や福岡が関西・九州の地域全体にIRの恩恵を与えるような施策を積極的に取ることが重要でしょう。

長崎や和歌山の両地域はすでに人口減少が加速している地域であり、その様な地域でIRが成長することは、地域の発展に直接的に寄与できるでしょう。ですが、統合型リゾートの推進は日本国の国策であり、一地域の発展を極度に重視して国策を失敗の危険に晒すことはとても考え難いです。

「IR推進」による地方の発展を両立させるためには、その大前提として「統合型リゾート」の成功が必要です。
「統合型リゾート」を成功させ、首都圏だけでない日本の地方を活気づける様な立地の選出を願うばかりです。

日本は、経済規模で考えると他国より国際化が遅れている国です。(極東という欧州各国との距離・言語を考えると仕方ない面もありますが。。)

大阪府発表資料「大阪IR基本構想」より抜粋

「統合型リゾート」はMICE施設の側面もあり、日本の国際化を後押しする効果も考えられます。
大阪市は、東京や京都、福岡と比べても大規模な国際会議の開催都市で選ばれることが少ないですが、IR大阪の成功は、きっと大阪をより国際社会の表舞台に飛躍させるでしょう。

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